裏庭日記:呼吸をあわせる
こんにちは、フェリックス清香です。いかがお過ごしですか? 啓蟄ですね。こちらは少し暖かくなり、ありんこがちょろちょろしているのを見るようになりました。蠍も。
日本の春は梅と桜から始まるように感じています。だから春の訪れは白、ピンク、薄ピンクのイメージ。でもモンペリエやこの辺りの春の訪れを知らせる色は黄色と紫です。ミモザとすみれが真っ先に咲くのです。そのあとタイムが咲きます。今は山の中に住んでいるので、あちこちで野生のタイムが咲いていて、夕方ちょっと幻想的に見えます。
この辺りはどうやらアーモンドとプラムの木も多そうです。アーモンドとプラムは桜や梅に似ているのでちょっぴり里心がつきますが、咲く頃にはもうわりと暖かいので大丈夫です。ミモザよりもアーモンドやプラムが先に咲くようだったら、泣いちゃうかもしれないけれど。

最近スマホを持ち歩かないから、あまり良いミモザ写真がありませんでした。
今朝、老犬の寝息を聞きながら、以前に尹雄大さんがマザリングを「『弱い存在と呼吸をあわせるように全身をなげうつ』行為を意味すると私は理解しました」と書いていらっしゃったのを思い出しました。赤ちゃんでもないし人間でもない、老犬のお世話に「マザリング」を当てはめるのはおかしいですが、尹さんの言葉なら当てはまります。老犬の息は、今はもうとても細くなってしまったのですが、ゆっくり息を合わせてほんの少しずつ私の息を深くしていくと、犬の息も少し深くなります。
動物を人間扱いするのは、動物にとってはいい迷惑なのかもしれない…と頭の片隅で思いながらも、私は私なりに老犬の最善のケアを考えるしかありません。
考えてみれば、こんなにペットが大事にされている時代はこれまでなかったはずです。ここ20年〜40年くらいで多くの人の価値観がもっとも変わったのは人権・環境・動物だと思う。それが元に戻ることのないようにと祈りつつ、今日も犬を撫でています。まあ、たんに撫でたいだけ、かわいいから。
ではでは。またお便りします!
追伸:「山だから、何もない、何もない」と思うのをやめようと思ったら、いろいろ見えてきました。この辺はフランスの中でも特に植物の種類が多いそうで、鳥も多いです。鳥の鳴き声がたくさん聞こえます。