裏庭日記:「ない」を考える。

鳥や草木の名前をもっと知りたい。
SayakaF 2025.02.03
読者限定

こんにちは、フェリックス清香です。大寒を過ぎ、あと少しで立春ですね。フランスに来る前は都内に住んでいたのですが、立春直前が一番寒かったなと思います。いかがお過ごしですか?

こちらでは長雨が続いています。1月中は寒くて、毎朝庭の木や草に霜がついていました。年始に引いた風邪が割と長引いて咳が酷かったのと、寒くてあまり出かける気にならなかったので、本ばかり読んでいたらあっという間に2月になってしまいました。

でも、ちょっとした変化もありました。6月に今いるProvence verteに引っ越してきて、あまりの山度合いに驚き、ここには何もない、何もないと思っていたのですが、先日散歩中にきれいな鳥を見かけて、あれは何の鳥だろうと思ったことから、「ない」と思うのは本当は「(わから)ない」「(知ら)ない」「(気にし)ない」なのだろうなと気づいたのです。

何もないわけはないんです、真空空間じゃないんだから。たぶん私が「ただの薮」と思って見ている茂みも、見る人が見たらきっとものすごく情報量が多いはず。そう思って薮を眺めたら、ところどころにうっすらピンク色の部分があるのに気がつきました。よく見ると、以前に生花を少しやっていたときに使ったことがあった気がする枝です。染めているのだとばかり思っていたけれど、天然の色なのだと知って少しうれしくなりました。調べてみたら、たぶんサンゴミズキという植物。葉が落ちた頃から枝が赤く染まるのだそうです。

以前には、あることすら気づけなかったもの、楽しめなかったもの、良さがよくわからなかったものも、知識を得、経験を経ることによってぐんとおもしろくなる。そういうのは、年をとるメリットの一つですね。2月もそういう喜びを見つけられたらいいなと思っています。

ではでは、すてきな2月をお過ごしください。

サンゴミズキの写真を、と思ったら撮っていませんでした!代わりに家の生垣。縁に霜がついて光るのがかわいかった。

サンゴミズキの写真を、と思ったら撮っていませんでした!代わりに家の生垣。縁に霜がついて光るのがかわいかった。

<1月の裏庭日記>

この記事は無料で続きを読めます

続きは、2144文字あります。

すでに登録された方はこちら